読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「ネタバレ」の境界線について

※このエントリーにはプレイステーションのゲーム「ペルソナ5」に関する記述があります。ゲームの具体的な内容に関する記載はありませんが、いわゆる「ネタバレ」に関する考察となりますので、ゲームを未プレイの方で些細な「ネタバレ」についても未然に防ぎたいという方は閲覧しないことをお勧めします。

(自分自身は「ペルソナ5」は未プレイ。今のところはプレイする予定もありません。)

 昨日「はてなブックマーク」を見ていたら、あるひとつのエントリーが目に付いた。

www.s-goroku.ne

要約すると、「Twitter のタイムラインを見ていたらフォロワーが「ペルソナ5」のネタバレを投稿しており、意図せずしてその情報を目にしてしまった自分はショックを受けた。」というエントリーである。

僕が気になったのは、エントリーのタイトルにある「※記事内ネタバレなし」という記述と本文中のこの箇所である。

ネタバレタイムライン:「ペルソナ5、まさか◯◯◯◯◯が黒幕だったとは・・・。なんたらかんたら・・・」

ペルソナ5(P5)のネタバレタイムラインが突如流れてきて、すげー怒ってる。 ※記事内ネタバレなし - S語録

ブログ管理人のMr.S さんが実際に見てしまったツイートには、この "◯◯◯◯◯" にラスボスの名前が記載されていて、Mr.S さんはそこを伏字にすることで自身のエントリー内でのネタバレを回避しようとしたのだと思う。
しかし、「ペルソナ5」を未プレイ、かつゲーム内容に関する知識がほとんどない僕にとって、この伏字を含む一文から、少なくとも以下の情報の提供と推測を促すことになった。

 

  1. ペルソナ5」には "黒幕" が存在する。
  2. しかも、その黒幕はプレイヤーにとって「まさか」と思うような意外な人物(あるいは人以外の生物?)である。
  3. ということは、黒幕は、ゲームを進行していく中である程度目星が付けられるような対象ではなく、かつ、ラストに突然現れるようなぽっと出のキャラクターではない。

 

ロールプレイングゲームRPG)なんだから "黒幕"、いわゆるラスボス的な存在がいるのは当たり前と言えば当たり前なので 1. については譲歩するにしても、「意外な存在がラスボスとして設定されている」という情報は、いくらキャラクター名を伏字にしてもネタバレになってしまうのではないかと思った。なぜならば、もし僕がこの先「ペルソナ5」をプレイすることがあったら、仲間だと思っているこのキャラクターが実は裏切って黒幕になるんじゃないかとか、あるいは倒したと思ったあの敵キャラが黒幕として復活するんじゃないかとか、その情報を知らなければ考えなかったであろうことをプレイ中に思いを巡らせてしまうだろうからだ。

もちろんMr.S さんに悪気があったわけではないし、特段落ち度があったとも思わない。この程度のことはネタバレとは呼べないというのも納得できる。しかし「ペルソナ5」に関して全くの部外者である僕が今回改めて考えることになったのは「ネタバレの境界線」である。

そもそも「ラスボスが存在する」という情報だって、これまでゲームを何本かクリアしてきた経験のあるプレイヤーの間に「RPG にはラスボスがいる」という共通認識があるからネタバレとは言われないだけで、過去にゲームをやったことが一切ないという人にとっては重要な情報になりうる可能性がある。最終的な目的がなく、延々と続くようなパズルゲームしか遊んだことのない人にとってはゲームには終わりがあるということだって新事実だ。公式サイトにある「学生ライフ」というメニューを見ると「球技大会、海水浴に文化祭、社会見学に修学旅行など、 学校生活には四季折々のイベントが盛りだくさん!」という記載があるが、これだって公式が情報を開示しているからネタバレとは言われないだけで、本当にまっさらな気持ちでゲームを始めたいと思っていた人にとってはネタバレになってしまうのかも知れない。もっと言うと、発売前に公開されるゲームのプロモーション映像だって、作り手側が情報提供しているものだからこれはネタバレではないと認識しているだけで、実際にはゲームの実際の内容を見せられているのである。コンテンツの核心には触れていないにしろ、これは立派なネタバレだ。

…と、考えれば考えるほど話はややこしくなり、もうここまで来ると「ネタバレ情報が存在する」という情報それ自体がネタバレになってしまうとでも言うような混沌状態になってしまい、まったく身動きが取れなくなくなってしまう。物語の重要な部分を明かさなければネタバレとされないとするならば、その範囲外であればパブリックな場所でガンガン情報を漏らして語りつくしてしまってもいいのか、そもそも重要な部分とはどこのことを言うのか、果たしてコンテンツの提供側がユーザーの行動をどこまで統制できるのか…。

 

インターネット上のネタバレ防止についてはこれまではユーザーの良識に基づいた自主規制で運用されてきた経緯がある。今回、開発元のアトラスは発売前に「ネタバレ自粛のお願い」を公開した*1。アトラスはかつて「キャサリン」においても同様のお願いを出したが、若い世代に特に人気のある「ペルソナ」シリーズで情報規制を試みた今回の事例とその成果はどうなるのか。その結果によっては、インターネットとネタバレの付き合い方について、今後の方向性が見えてくるのかも知れない。

*1:現状、このお願いページは公式のトップページからはリンクされておらず、Newsのアーカイブを辿らないと見ることができない。正直これでは注意喚起としては弱いのではないかと思う。