自転車疾走シーン

今月の頭に自転車を買った。

きっかけは何だったろう。良く覚えていない。ただ、仕事の手が少しあいた時に、「家から会社まで自転車なら何分で到着するんだろう?」という思いが頭をよぎったのだ。

今年の3月に引っ越しをして、自宅から会社までの距離はぐっと短くなり、通勤時間も短縮できた。しかし変わらないのは、会社は電車で通うものという固定観念だ。もし会社に向かう交通手段が電車じゃないとしたら…? そんな逆転の発想がスキマ時間にふと浮かんだのかもしれない。

Google Map で調べてみると、自宅から職場までは徒歩で1時間20分弱。自転車の速度が徒歩の3倍と考えると30分弱で通勤できる計算だ。この意外な近さが新鮮だった。会社よりも新宿駅のほうが近いので、もっと短い時間で新宿まで行けてしまう。渋谷あたりだって全然余裕だ。電車で渋谷に行く度に、煩わしい乗り換えや、人があふれるホームで気を揉んでいたけれど、自転車移動ならばそんなこともない。(もちろん自転車には自転車の煩わしさはあるだろうけど。)俄然、自転車の購入意欲が高まってきた。

しかし自転車に関する知識が全くなかったのでインターネットで色々調べた。自転車にはどんなタイプがあるのか、どういうメーカーがあるのか。当初はクロスバイクを候補に考えていたけども、ふと目に止まったのがtokyobike だ。


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tokyobike のコンセプトは「東京を走るための自転車」。もちろん製品のラインアップにスポーツバイクもあるけれど、中でも僕が気になったのが、より日常的な街乗りに方向性をシフトした BISOU というタイプ。シルエットはややママチャリっぽくはなるけれど、シンプルでスマートなデザインはおしゃれだし、オプションで大きめのカゴも取り付けることができて実用性も高い。ということで、もう週末には中目黒の直営店まで買いに行っていた。お店では試乗をさせてもらった。自転車に乗るのも久しぶりだったので、特に坂道を下る時は思ったよりもスピードが出てビックリした。しかし購入することはもう決めていた。カラーは悩んだけれど、ベーシックなネイビーに。約1週間で納車された。

よく行く代官山の蔦屋書店も自転車で行けるようになった。30分弱はかかるけど、サイクリングで行けるのはちょっとした運動にもなるし、JR の渋谷駅から東急東横線への乗り換え(利用したことなら誰もがうんざりする)が無くなったは嬉しい。渋谷へ行くのも、「奥渋」と呼ばれるあたりなら20分もかからない。好きな本屋「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」も気軽に自転車で行ける。

そしてなにより楽しいのは、自転車でなければもしかすると通り過ぎることもなかったかも知れない道や風景を行けることだ。街から街への移動手段として電車はたしかに便利だけど、これはあまりに目的ありきの移動になるし、直線的過ぎて余白を楽しむ余地が少ないのではないか。自転車を手にしたことで僕の行動範囲はサークル状に拡がった感じがする。自転車を単に移動するツールとして使うのではなく、運転するその過程を楽しむ感覚と余裕が生まれたのだ。

ここにきて、東京がまた楽しくなってきた。