#私を構成する9枚 その2

 前回の「その1」では「私を構成する9枚」の作品を紹介した。

今回からはその9枚を自分が聴いた時系列に沿って紹介して行こうと思う。

リリースは1992年3月。僕が買ったのはその年の秋〜冬頃だったと思う。当時中学二年生。前年の「SAY YES」の爆発的ヒットで一躍スターダムにのし上がったチャゲアスだけど、僕がこのアルバムで好きなのは「WALK」〜「LOVE SONG」〜「DO YA DO」〜「太陽と埃の中で」という "「SAY YES」以前" の一連の流れだ。他の楽曲ももちろんクオリティは高いのだけれど、この4曲のメロディ、アレンジ、歌詞はどれを取っても格別に神がかっていて、才気ほとば しるとはまさにこのことを言うのだと、中学生ながらに平伏すしかなかった。音楽を聴いて心を震わすという体験は初めての事だった。

ユニコーンを知ったのは1992年のシングル「雪が降る町」。僕がそれまでによく聴いていたのが先述のCHAGE & ASKA であったりB'z であったり徳永英明であったりで、言わば、アーティストとしての確固たるイメージを確立させたミュージシャンだった。それに対してユニコーンというバンド はメンバー全員が気取ることも着飾ることも無く自然体。楽曲も遊び心があってバラエティに富んでいた。ミュージシャンなんてカッコつけてなんぼと思ってい た僕はユニコーンの自由闊達さに大いに衝撃を受け、人生で初めての心から大好きだと言えるバンドになったのだ。(それだけに93年に解散をしてしまった時 は本当に落ち込んだ。)
アルバムとしては4th の『ケダモノの嵐』の方が好きかもしれないし、7th の『ヒゲとボイン』も捨てがたいのだが、僕がユニコーンに夢中になった理由が最も詰め込まれているアルバムとしてこの3rd 『服部』を選びたいと思う。

僕が「渋谷系」にのめり込むきっかけとなった一枚。僕がコーネリアス小山田圭吾)に惹かれた要因をシンプルに言えば「ポップ」に尽きると思う。僕は楽器ができないし曲のコードがどうとかいう理論的なことは分からないのだけれど、コーネリアスの曲はヒット・チャートの上位に並ぶ曲とは明らかに趣の異なるコジャレたメロディーの癖があって、その響きが、少し背伸びをしたい、他人とは違っていたいという僕の心をくすぐった。それはそれまで大好きだったユニコーンが一気に泥臭く感じてしまうほどだった。
当時と比べればいまの自分の音楽の趣味もいろんなジャンルに広がっているし、それはこのアルバムの音楽性とは必ずしも一致しないかもしれない。しかし無数に広がった枝葉の元を辿っって行けば、きっと最後にはこのアルバムに行き着くのだと思う。全ての始まりという意味で僕の音楽に対する価値観の根幹となる作品だと思うし、今でも自分の中でのポップ・ミュージックのスタンダードとなるのはこのアルバムだと断言できる。

 

(続く)

 

SUPER BEST II

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服部

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THE FIRST QUESTION AWARD

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