The Stone Roses来日公演 4/21(金)@日本武道館 その2

 

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 オープニングは「I Wanna Be Adored」。想定通りのスタートではあるが、イントロのベースラインが響くと体中から込み上げてくるものがある。が、しかし、ギターのイントロに突入する直前の、ダンダン! と響くあのドラムがなかったのだ。ライブではいつもこういうアレンジなのだろうか? 僕は、「I Wanna Be Adored」のイントロのあの高鳴りのようなドラムが、"全て" のスタートサインのように感じられて気に入っていたのでちょっと肩透かしを食らった気分だった。

2曲めは「Elephant Stone」。セットリストの大半は1st アルバム『The Stone Roses』からの選曲で、多分このアルバムからは全曲演奏したと思う。短い活動期間の中で数多くの名曲を量産したThe Stone Roses においてもこの「Elephant Stone」は僕のフェイバリットなのだが、どうもイアン・ブラウンのボーカルのエンジンの始動がまだ鈍いようで、まるでオッサンのカラオケを聞いているかのような、グルーヴとはかけ離れた状態のように感じた。

そんなスタートだったのでやや不安が頭をよぎったが、しかしそんな懸念は徐々に消え去ることになる。ライブ中盤にもなれば一体化したバンドが放つグルーヴが武道館を覆うことになるのだ。終盤の「She Bangs The Drums」でイアン・ブラウンの声が全く出ない状態になってしまったのはご愛嬌だが、ラストの「I Am The Resurrection」まで、とても50歳を過ぎたバンドとは思えないほどの力強さと若々しさで突っ走った。

最初、ステージから登場したメンバーを見た時は、雑誌のピンナップ等で目にしていたルックスとはまるで別人の、すっかり老け込んだ姿(当然ではあるが)に愕然となったものだった。しかし、ややお腹が出てきたイアン・ブラウンもその眼光の鋭さはまだ衰えていなかったし、マニの自分の居場所から殆ど動かずマイペースに仕事をこなす姿からは職人魂を感じたし、ルックス的には一番老けたレニも、トレードマークのチューリップハットを被れば "あの" レニの面影を彷彿とさせるし、ジョン・スクワイアは寡黙に、しかし熱いギタープレイを響かせてロック・ミュージシャンとしての "カッコよさ" を一人で受け止め、ギリギリのところで踏ん張っていた。

ライブ終了後、ステージ中央に集まったメンバーが手を繋ぎ、オーディエンスに向かってその手を掲げた。今回のライブでメンバーが集ったのは最初で最後だったと思う。ただのポーズかもしれない。しかし、長い年月が過ぎてもなお、当時のあのメンバーが同じ場所に揃ったその姿を見て、僕はやはり感動してしまったのだ。